四万温泉1泊2日モデルコース！車なしで巡る名湯と四万ブルーの絶景旅

1日目は、東京から四万温泉へ移動し、道中の見どころに立ち寄りながら温泉街の中心部へと向かいます。神秘的な「四万ブルー」の絶景と、情緒あふれる温泉街の散策を楽しみましょう。

四万温泉の旅は、JR「中之条駅」からスタートします。ここは四万温泉をはじめ、周辺の観光地への玄関口となる拠点駅です。特急「草津・四万号」も停車し、都心からのアクセスも便利です。

駅に降り立つと、旅の始まりを感じさせるのどかな空気が迎えてくれます。駅前にはバスロータリーが整備されており、ここから関越交通バス「四万温泉行き」に乗車します。バスの出発時間までは、駅併設の待合室でひと休みしたり、小さな売店を覗いたりして過ごしましょう。

中之条駅からバスに揺られること約14分、「四万湖」で下車します。ここは、中之条ダムによってできたダム湖で、このモデルコースで最初に出会う「四万ブルー」のスポットです。

湖面は光の加減によってコバルトブルーやターコイズブルーに色を変え、見る人を惹きつける神秘的な美しさを湛えています。特に新緑や紅葉の季節は、青い湖面と周囲の色彩とのコントラストが圧巻です。ダムの堰堤（えんてい）の上は歩けるようになっており、湖を眺めながらのんびりと散策するのもおすすめです。

四万湖から再びバスに乗り約7分、「四万甌穴前」で下車します。ここは四万川の清流が、何万年という長い時間をかけて川底の岩盤を侵食してできた、大小さまざまな丸い穴（甌穴）が見られる場所です。自然が作り出したアートのような景観は迫力満点で、群馬県の天然記念物にも指定されています。

散策で疲れたり、バスに乗るまで時間があるときは、近くのカフェで休憩するとよいでしょう。大きな窓から森の景色を眺めながら、特製のケーキやドリンクで癒しのティータイムが楽しめます。

甌穴群からバスで約8分、温泉街の中心地「四万温泉」バス停で下車します。まずは、バス停からほど近い「落合通り」の散策がおすすめです。ここは、昭和レトロな雰囲気が色濃く残る通りで、スマートボールのお店や昔ながらの飲食店、民芸品店が軒を連ねています。

ノスタルジックな街並みを背景に写真を撮りながら、温泉街ならではの情緒を楽しみましょう。

落合通りからも近い、四万温泉の象徴的なスポットが「積善館本館」です。1694年に開業した歴史ある湯宿で、その本館は日本最古の湯宿建築と伝えられており、群馬県の重要文化財に指定されています。

宿の前にかかる赤い「慶雲橋」からの眺めは、まるで『千と千尋の神隠し』の世界に迷い込んだかのような幻想的な雰囲気で、絶好の写真スポットとして人気です。歴史が息づく建物の重厚感と、湯けむりが立ちのぼる温泉街の風情を肌で感じられます。

散策で少し歩いたら、四万温泉のなかほど、桐の木平商店街の真ん中あたりにある「塩之湯飲泉所」で、体の内側からも温泉の恵みをいただきましょう。四万温泉は「飲めば胃腸によい」とされ、古くから飲泉文化が根付いています。

こちらの源泉は「塩の 湯」という名の通り、ほんのり塩味がするのが特徴です。胃腸の働きを整える効果と旅の健康を願い、一杯いただいてみるのがおすすめです。

また、近くでは群馬名物の「焼き饅頭」も購入できます。炭火で丁寧に焼き上げたふわふわの生地に甘辛い味噌ダレを絡めた素朴な味わいで、散策の途中に立ち寄る小さなおやつとしてもぴったりです。

1日目の観光を満喫したあとは、予約した宿泊先にチェックインしましょう。四万温泉には、歴史ある老舗旅館からモダンなホテルまで、多彩な宿がそろっています。

宿に到着したら、まずは名湯・四万の湯にゆっくりと浸かって、移動と散策の疲れを癒しましょう。地元の旬の食材をふんだんに使った夕食も旅の大きな楽しみのひとつです。客室でくつろぎながら初日の旅を振り返り、2日目への期待に胸を膨らませる、贅沢な時間を過ごしてみてください。

2日目は、温泉街のさらに奥、日向見（ひなたみ）エリアを中心に巡ります。早朝の共同浴場でリフレッシュしたあと、四万温泉発祥の地を訪れ、クライマックスの絶景「奥四万湖」を目指しましょう。

なお、温泉街の終点から最奥部の奥四万湖までは片道約3km、公共交通機関はありません。レンタサイクル（冬季休業の場合あり）、または徒歩での移動になります。体力に合わせて計画を立てましょう。

2日目の朝は、地元の人も利用する共同浴場で「朝湯」を楽しむのがおすすめです。温泉街の中心部にある「河原の湯」は、その名の通り四万川のすぐそばにあり、バスの終点近くに位置しています。石造りの内装は洞窟風呂のような趣があり、風情たっぷりです。

また、少し高台にある「上の湯」も、こぢんまりとした昔ながらの共同浴場で、朝の静かなひとときを過ごすのに適しています。朝のやわらかな光が差し込む源泉かけ流しの湯に浸かれば、心も体もすっきりと目覚めさせてくれます。

朝風呂のあとは、日向見エリアへと向かいます。途中、「ゆずりは飲泉所・杜の足湯」でひと休みするとリフレッシュできます。国民宿舎「四万ゆずりは荘」に隣接しており、誰でも無料で利用できるのが嬉しいスポットです。足湯に浸かりながら、四万川のせせらぎや周囲の緑に癒されましょう。

飲泉所も併設されており、足浴と飲泉の両方で温泉の効能が期待できます。四万温泉の中心街からは少し離れているため、比較的ゆったりと過ごせる穴場スポットです。

足湯で温まったら、四万温泉発祥の地とされる日向見エリアの散策を続けます。バスの終点「四万温泉」バス停から徒歩で約30分の場所に、「日向見薬師堂」は静かにたたずんでいます。

現在あるお堂は、1598年に建立されたと伝わる歴史ある建物で、国の重要文化財にも指定されています。四万温泉の歴史は、この地で温泉が発見されたことから始まりました。こぢんまりとしていますが、茅葺き屋根の素朴な姿が周囲の自然と調和し、厳かな空気を感じさせてくれます。

日向見薬師堂のすぐ横にあるのが、共同浴場「御夢想の湯」です。ここは、四万温泉の名の由来となった「四万の病を癒す」というお告げ（夢想）によって発見された、伝説の湯です。

石造りのこぢんまりとした湯船ですが、まさに四万温泉のルーツとも言える源泉に浸ることができます。営業時間が午前9時から午後3時までと限られているので、訪れる際は時間に注意しましょう。

日向見エリアからさらに最奥部へ。このモデルコースのハイライト、「奥四万湖」を目指します。温泉街からは徒歩だと1時間近くかかりますが、その先には息をのむような絶景が待っています。

四万川ダムによってせき止められたこの湖は、「四万ブルー」の最も美しい姿を見せてくれる場所として知られています。時間や光の加減によって、コバルトブルーからターコイズブルーへと幻想的に色を変える湖面は、まさに神秘的。

展望台から湖全体を見渡したり、ダムの堤防の上を散策したり、心ゆくまで四万ブルーの世界に浸りましょう。

奥四万湖の絶景を堪能したあとは、帰り道にある「日向見公園」に立ち寄ってみましょう。

この公園は、奥四万湖の四万川ダムの真下、四万川沿いに整備されています。公園からはダムから流れる川に降りられるので、清流のせせらぎを聞きながらのんびりと散策が楽しめます。ダムの迫力ある姿を下から見上げることができるのも、この公園ならではの魅力です。

四万温泉の豊かな自然と清らかな水に触れられる、旅の締めくくりにふさわしいスポットです。

日向見公園でリフレッシュしたあとは、「四万温泉」バス停へ戻り、中之条駅行きのバスに乗車します。バスの車窓から移りゆく景色を眺めながら、1泊2日の旅を振り返るのもまた特別な時間です。

中之条駅からは、東京方面へ直通の特急「草津・四万号」や普通列車と新幹線を乗り継いで、帰路につきます。名残惜しい気持ちとともに、四万温泉で過ごした癒しの思い出を胸に、旅を締めくくりましょう。

ここからは、本記事のモデルコースの拠点としておすすめの宿泊先を4施設厳選してご紹介します。

※記事で紹介している宿泊施設のサービス等は変更になることがあります。最新情報はプラン詳細ページや施設公式サイトなどをご参照ください。

室町時代創業、自家源泉を持つ老舗旅館です。「日本三大胃腸の名湯」と称される四万の湯を、毎分1,600リットルという豊富な湯量で、源泉かけ流しで楽しめます。浴槽の底から湯が湧き出す大浴場や、四万の名所「甌穴」を模した露天風呂など、風情ある複数の湯めぐりが館内で完結するのが魅力です。

泉質はナトリウム・カルシウム塩化物・硫酸塩泉で「メタケイ酸」も多く含んでいます。塩化物泉は保湿・保温効果も高く、美肌の湯としても知られています。歴史と豊かな湯に癒される、温泉三昧の滞在を満喫しましょう。