いわゆる雪国と呼ばれるような地域は、寒い冬こそ魅力。雪国といえば北海道を思い浮かべることも多いものですが、それだけではありません。東北も、冬を楽しむことができる魅力的な地方なのです。
冬の東北地方では雪国ならではの絶景が見られるだけでなく、寒い冬にこそ食べたい絶品グルメや冬限定のイベントなど、魅力的なポイントがたくさんあります。そこで今回は、冬の東北のさまざまな魅力についてご紹介します。
目次
青森県と秋田県にまたがる十和田湖。すり鉢状のくぼ地に水がたまった二重式カルデラ湖です。最大水深は326.8mと国内第3位の深さで、面積は12番目の大きさを誇ります。十和田湖から流れ出る奥入瀬川の十和田湖畔子ノ口(ねのくち)から焼山(やけやま)までの約14kmの区間が奥入瀬渓流と呼ばれ、連日多くの観光客が訪れます。
十和田湖にはシンボルとなっている「乙女の像」や湖上遊覧船、瞰湖台(かんこだい)・御鼻部山(おはなべやま)展望台からの眺望やパワースポットとして有名な十和田神社など見どころも多く、訪れる人を楽しませてくれます。
毎年2月には青森の冬を代表するイベント「十和田湖冬物語」が開催され、冬花火やスノーランプなどが夜の湖畔を彩ります。
東北では、冬の季節にだけ見られる特別な光景がいくつかあります。その中でも特に人気が高く、広く知られているのが「樹氷」です。
樹氷は、およそ氷点下5℃以下に冷却された水滴などが樹木に吹き付けられて凍結することでできた氷です。樹木が完全に覆われるほどに成長した樹氷は巨大な生き物のようにも見えることから、別名スノーモンスターとも呼ばれています。東北では山形県の蔵王で見られる樹氷が非常に有名で、それ以外では青森県の八甲田山でも見られます。
蔵王と八甲田山の樹氷は、亜高山帯に生育する針葉樹・アオモリトドマツを土台としています。11月~12月の間に氷や雪が付き始め、1月に大きく成長し、2月に最盛期を迎えます。その後は気温の上昇に伴って少しずつ樹氷は溶けていき、雨などによって洗い流されます。樹氷を見るなら、1月~2月がおすすめです。
冬といえば各地でライトアップが盛んになる季節であり、東北でも光が作り出す美しい景色を見ることができます。上述した蔵王の樹氷も、シーズン中はライトアップが行われます。雪上車でのナイトクルージングも企画されていて、間近で樹氷を見ることができます。その他、例えば宮城県の仙台市では「SENDAI 光のページェント」というイルミネーションイベントが開催されます。
青森県弘前市の中央に位置する弘前公園。弘前公園は弘前藩主津軽家の代々の居城である、弘前城跡を整備して造られました。公園のシンボルである三層の天守は、現存12天守のうちのひとつであり、東北地方で唯一の現存天守として有名です。他にも園内には櫓3棟(二の丸辰巳櫓・二の丸未申櫓・二の丸丑寅櫓)、城門5棟(二の丸南門・二の丸東門・三の丸追手門・三の丸東門・北の郭北門)が往時の姿をそのまま残し、そのいずれも国の重要文化財に指定されています。
弘前公園の春の桜は「日本一の桜」とも称され、日本三大桜名所のひとつとしても広く知られています。一方、冬の12~2月には園内の桜の枝に積もった雪がライトアップされ、満開の桜が咲いているように見える「冬に咲くさくら」が実施され、毎年多くの観光客を魅了しています。また、毎年2月中旬に開催される「雪燈籠まつり」も必見です。期間中、200基に及ぶ大小様々な雪燈籠や雪像が園内に配置され、幻想的な世界を作り出します。
雪景色の中で入る温泉は、普段の温泉とはまた違った趣があります。東北にはさまざまな温泉があるので、温泉の泉質や温泉街の雰囲気など、好みで選ぶことができます。
青森県にある酸ヶ湯は、八甲田山の火山を由来とした温泉です。その名の通り泉質は強い酸性を示し、また火山由来であることから硫黄泉となっています。薬効がある温泉として江戸時代から湯治客が多く、現在でも神経痛やリューマチ、皮膚病などに効能があるとされています。その効能や豊富な湯量などから、国民保養温泉地第1号となりました。
酸ヶ湯に入ることができる旅館は、八甲田山中にある一軒宿です。この旅館の大きな特徴は、千人風呂と呼ばれる総ヒバ造りの巨大な浴場です。熱湯、四分六分というふたつの大きな浴槽と打たせ湯があり、熱湯と四分六分では泉源が異なります。名前から熱湯のほうが温度が高いと思われがちですが、実際には熱湯のほうが温度が低めです。熱湯という名前は、長時間ぬくもりが持続して後々まで体が温まることから付けられました。四分六分は温度自体は高いものの、温かさの持続が熱湯に比べて短いといわれています。その具合が熱湯の4分~6分くらいといわれていることから、四分六分という名前が付けられました。
温泉街の雰囲気を楽しみたいという方には、山形県の銀山温泉がおすすめです。銀山温泉は山形県尾花沢市の銀山川沿いにある温泉街で、かつてこの地で栄えていた延沢銀山から名前をとっています。閉山後から湯治場としてにぎわい、国民保養温泉地にも選ばれています。
銀山温泉の大きな特徴は、大正ロマンを感じるその街並みです。昭和初期の頃に建てられた西洋風木造多層の旅館は当時としてはモダンなもので、中心を流れる銀山川にかかる橋や立ち並ぶガス灯などノスタルジックな光景が広がっています。温泉街には貸衣装屋もあるため、大正ロマンにひたりながらゆったりとした時間を過ごすことができます。
仙台を象徴する定禅寺通が“杜の都”から“光の都”へ姿を変える冬の風物詩「SENDAI光のページェント」。毎年12月、ケヤキ並木に輝く60万個のイルミネーションが通りをあたたかな光で包み込みます。
期間中、電飾を施された「ページェントカー」や市内循環バス「るーぷる仙台」がページェント仕様になった特別運行の「光のページェント号」の乗車を楽しむことができます。
また、マーチングバンドよる演奏やバトンの演技なども行われるほか、近隣の公園でもイベントが実施されるなど見どころ満載のイベントです。
SENDAI松島離宮 光のページェントは、 2020年10月に日本三景・松島に誕生した観光スポット「松島離宮」で行われるイルミネーションイベントです。仙台の冬の風物詩「SENDAI光のページェント」とのタイアップ企画です。16万球のLED電球が離宮庭園の冬を彩ります。30分間に1分間消灯し、1時間に1分間だけ7色に変わる特別ライティングも必見です。
松島離宮には松島の優美な姿を表現している「離宮庭園」、日本唯一の木造十角三重塔の「レツルタワー」、松島湾の歴史に触れられる「宮城県松島離宮博物館」のほか、松島グルメを堪能できるレストランや土産物店、カフェも併設されていますので一日通して楽しめます。また、夜間のライトアップは通年行われており、季節によって違った雰囲気を堪能できます。
※最新のSENDAI松島離宮 光のページェントの開催期間は公式サイトをご確認ください。
せんだい農業園芸センターで開催されるイルミネーションイベント「みどりの杜ファンタジーナイト」。毎年1月中旬~2月中旬の金土日祝日に開催されます。
最大全長10m級の恐竜イルミネーションはこども達に大人気。また、憧れのプリンセスになりきって写真撮影できるジュエルプリンセスコーナー、光の体感型アトラクション「アソビーツ」、ワークショップや夜の宝探しなどこどもが楽しめるコーナーや催しがもりだくさん。家族みんなで楽しめるイベントです。
東北は観光スポットがたくさんあるのはもちろん、名物・名酒といったグルメも魅力的。それぞれの地域で違った味わいが楽しめるので、何度も訪れたくなること間違いなしです!
日本三景のひとつとして有名な宮城県の松島。松島は牡蠣の産地としても知られています。松島の牡蠣は同じく産地として著名な広島の牡蠣に比べ、小ぶりで身がしまっており、とてもクリーミーで濃厚。そんな松島の牡蠣を存分に堪能するには、シーズン中(10~3月頃)に松島各地で営業される牡蠣小屋での牡蠣食べ放題がおすすめです。価格は2,000~3,000円代ととてもリーズナブル。松島の冬の味覚を是非お楽しみください。
青森県の郷土料理のひとつに、せんべい汁があります。せんべい汁は肉や魚、野菜、きのこなどでだしをとった汁に南部せんべいを割り入れ、煮込むことでできる八戸地方のご当地グルメです。せんべい汁に入れるせんべいは専用に作られたもので、煮込んでも溶けにくくなっています。鍋として食べるものや汁物として食べるもの、醤油ベースや塩ベースなどさまざまな種類があります。
秋田県のご当地グルメといえば、きりたんぽ鍋です。きりたんぽはすりつぶしたご飯を木の棒に巻きつけて焼いたもので、これを肉や野菜と一緒に鶏がらをベースとしたスープで煮込みます。お米のあきたこまち、日本三大地鶏のひとつである比内地鶏など、秋田産のさまざまな素材を味わうことができる料理です。
岩手県と山形県、そして宮城県は、いずれも地元ブランドの牛肉が有名です。岩手県は前沢牛、山形県は米沢牛、宮城県は仙台牛で、一定以上の品質を満たした肉のみが名乗ることができます。特に仙台牛は、A-5、B-5ランクの牛肉しか名乗ることを許されていません。どの牛肉も異なった味わいが楽しめるため、食べ比べしてみるのもおすすめです。
福島県は、全国でも有数の酒処です。毎年開催されている全国新酒鑑評会では、金賞受賞数が5年連続日本一となっています。そんな福島県には多くの酒蔵があり、同じ県内とは思えないほどに各地域で特徴が異なります。他の県にはない圧倒的な多様性は、福島県の日本酒の大きな魅力なのです。
一口に東北地方とはいっても、それぞれの県で特徴は大きく異なります。今回ご紹介したように観光スポットや温泉、グルメなどさまざまな魅力があるため、東北を訪れる際にはしっかりと調べてから向かうようにしましょう。もちろん、今回ご紹介したものがすべてというわけではありません。他にも東北地方には多くの魅力があるので、興味がある方はぜひ東北を訪れてみてください。
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