観光地として人気が高い宮城県。中心地である仙台市を始め、さまざまな人気観光スポットがあります。そのなかの一つが「鳴子温泉(なるこおんせん)」です。鳴子温泉は全国的に有名な温泉で、毎年多くの観光客が訪れます。
そこで今回は、鳴子温泉の歴史や泉質、鳴子峡の魅力など、鳴子温泉についてご紹介します。
目次
まずは、鳴子温泉の歴史や泉質について見ていきましょう。
鳴子温泉の始まりは、承和4年(837年)だといわれています。その歴史は、実に1000年以上。鳴子火山群の一部である鳥谷ヶ森が大爆発を起こし、その影響で熱湯が噴出したようです。一説では、そのときの轟音から「鳴郷の湯」と名付けられたといわれています。
また、兄である源頼朝に追われた源義経は、平泉に向かう途中で鳴子温泉に訪れたそう。そのときの逸話が、「鳴子」と呼ばれるようになった理由の一説ともいわれています。逸話とは、次のようなもの。
「義経が正室である北の方と亀割峠を訪れたとき、北の方が産気づいて亀若丸が生まれました。しかし、亀若丸はなかなか産声をあげず、川原湯温泉につかったときにようやく声をあげました。そのため、この地を『啼子(なきこ)』と呼ぶようになり、それが変化したのが鳴子なのです。」
鳴子温泉郷には全部で400本近くもの源泉があり、その泉質もさまざま。日本の温泉の泉質は大きく11種類に分けられますが、鳴子温泉郷にはそのうち9種類の泉質の湯が集まっています。各宿泊施設や共同浴場が自家源泉を有しており、それぞれの施設で違った泉質が楽しめます。
9種類の泉質にはそれぞれ違った効能がありますが、主に切り傷ややけど、慢性皮膚病、動脈硬化などに効果的だといわれています。
一つの温泉に一つの泉質というわけではなく、いくつかの泉質が混ざりあった温泉も多いので、事前にどんな泉質なのか確かめてみるのもいいでしょう。
鳴子温泉といえばもちろん温泉が人気ではあるのですが、その周囲に広がる鳴子峡も大きな魅力の一つです。
「鳴子峡」は荒雄川の支流である大谷川の侵食によって形成された峡谷。流れる川と周囲の美しい自然の融合が魅力的で多くの人が訪れます。そんな鳴子峡の自然を一望できるスポットが、鳴子峡レストハウスにある見晴らし台です。ここから撮影される大深沢橋と周囲の自然が写る景色は、鳴子峡のイメージビジュアルとしてよく使われます。まさに、「鳴子峡といえばこれ!」という景色がバッチリ見られます。
鳴子峡は季節によってさまざまな表情を見せる渓谷なのですが、おすすめは紅葉シーズンです。鳴子峡の紅葉は宮城県内、ひいては全国的にも有名で、毎年紅葉シーズンになると多くの観光客が訪れます。先程ご紹介した見晴らし台から紅葉を観るのも良いのですが、整備されている遊歩道を散策するのもおすすめです。広大な景色が広がる紅葉と、歩きながら身近に感じられる紅葉のどちらも楽しめるのは、鳴子峡の大きな魅力でしょう。
実は鳴子峡は自然だけでなく、鉄道を撮影する人たちにも人気のスポットなのです。鳴子峡にはトンネルがあり、ちょうどトンネルから電車が出てくるところを大深沢橋から撮影することができます。特に紅葉シーズンは電車が徐行運転してくれるので、うまく写真が撮れると話題です。普段鉄道写真にあまり興味がないという人でも、渓谷と電車のコラボレーションはとても絵になるので、ぜひ撮影に挑戦してみてください。
「潟沼」は、鳴子温泉郷にあるカルデラ湖。胡桃ヶ岳(くるみがたけ)、尾ヶ岳、松ヶ岳、鳥谷ヶ岳という4つの山々に囲まれています。
潟沼の大きな特徴は、湖水が世界的に見ても非常に強い酸性を示すこと。数値が低いほど強酸性であることを示すpH値(水素イオン濃度)は2.4程度といわれています。そのため、酸性に強い藻類とユスリカというハエの仲間の幼虫のほかに生物は生息していないといわれています。また、湿気や気候によって湖面の色が変化するので、行く度に違った色が楽しめます。
「足湯下地獄源泉」は、鳴子温泉湯めぐり駐車場のそばにある源泉100%の足湯です。足湯には血液循環を改善する効果があるとされているので、健康増進にも効果的です。源泉は山側から引いてきていて、自然の冷気で適温まで下げられています。
この足湯下地獄温泉には足湯の横に温泉たまごが作れる施設もあります。出来立ての温泉たまごが食べられるのも魅力の一つです。
「鳴子温泉神社」は、鳴子温泉駅のすぐ近くにある神社です。少彦名命(すくなびこなのみこと)と大己貴命(おおなむちのみこと)の2柱を祭神としています。鳴子温泉神社ができたのは承和(しょうわ)2年、西暦でいうと835年のこと。突如としてこの地に温泉が湧き出し、それを受けて朝廷が温泉の神を祀ったのが始まりだといわれています。
「おんせんじんじゃ」の愛称で親しまれていますが、別名「ゆのかみのやしろ」とも呼ばれます。拝殿には狛犬のほか、鳴子の名物であるこけしが置かれています。
「鳴子ダム」は、大崎市鳴子に流れる江合川(えあいがわ)に建設されたダムです。昭和27年から建設工事が始まり、約6年かけて昭和32年に完成しました。鳴子ダムは東北初となるアーチダムであり、また日本初の日本人だけで作ったダムとして有名です。高さ約80メートルから大量の水が流れ落ちる「すだれ放流」は圧巻の姿。毎年5月のゴールデンウィーク期間中に開催され、一度は見てみたいとイベントの時期には多くの人が訪れます。
鳴子ダムの見学はもちろん、周囲の自然も見どころ満載です。水かさやダム関連の機械には注意が必要ですが、カヌーやボートといった川のアクティビティも楽しめます。
「鬼首温泉」は、鳴子温泉郷の一部として紹介されることもある近隣の温泉です。開湯時期は詳しくはわかっていませんが、江戸時代には湯治場として栄えていたようです。
鬼首温泉の特徴は、天然の間欠泉(かんけつせん)があることです。間欠泉とは、一定の周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉のことをいいます。間欠泉自体はほかの温泉地でも見られるものですが、なかには人工的に圧力をかけて吹き出させているものも。自然の力で大地から噴き出す鬼首間欠泉は、迫力満点です。
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