日本は温泉大国として知られていて、日本全国にさまざまな温泉地があります。
有名な温泉地の一つに、熱海温泉があります。一時期は人気が衰えていたといわれた時期もありましたが、現在は再び熱海観光の人気が高まっています。今回はそんな熱海温泉の衰退や復活にもふれながら、熱海観光の魅力をご紹介していきます。
目次
熱海温泉といえば、人気温泉地として必ず名前が挙がっていた温泉地です。特に昭和の中頃は新婚旅行先として選ばれることが多く、まさに熱海観光の絶頂期でした。ところが時代の変化とともに、熱海観光の人気は徐々に衰退していくことになります。全国各地で観光地が開拓されていく中で、“熱海=古い”というイメージがついてしまったのです。1991年には年間440万人以上が訪れた熱海ですが、2002年には300万人を下回り、2011年は250万人ほどにまで落ち込みました。
しかし、現在は熱海観光の人気が再び高まってきています。2012年から毎年3~10%程度観光客が増加していて、2015年には300万人台にまで増えました。今後もさらに観光客数は増える見込みで、ますます活気が高まっています。
そんな熱海観光の魅力を、改めてご紹介していきます。
熱海が観光地として復活するにあたって、いくつかプロモーションを行なってきました。その目玉の一つとなったのが、花火大会です。
熱海には、昭和27年から開催されている花火大会「熱海海上花火大会」があります。海上とあるように海の上から打ち上げられる花火大会なので、水面に写る花火も楽しめます。また、三方を山に囲まれた立地からスタジアムのような音響効果があり、実際の音量以上の迫力も感じられます。
花火大会といえば夏のイメージがありますが、熱海海上花火大会は年間を通して20回近く開催されます。2016年までは春、夏、冬の3シーズンでの開催でしたが、2017年からは秋にも開催されるようになりました。毎回約5,000発の花火を打ち上げる花火大会は開催日が多いことから多くの観光客が訪れ、メインとなる夏には3万人もの人が集まります。フィナーレを飾る大空中ナイアガラは、熱海海上花火大会の大きな見どころでしょう。
また、特定の時期に開催される花火大会では花火観覧クルーズも行われ、普段とは違った角度から花火大会が楽しめます。
上述したように熱海は人気回復のためにさまざまなプロモーションを行ってきましたが、やはり熱海観光といえば温泉はかかせません。ここでは、熱海温泉の歴史や泉質について見ていきましょう。
熱海温泉の歴史は古く、その起源は755年~765年頃までさかのぼります。当時、漁師たちは海中から湧き出す熱湯によって魚類が焼け死に困っていました。それを見た箱根権現の万巻上人(まんがんしょうにん)は漁師たちを救おうと祈祷し、泉脈を山里に移したという逸話が伝わっています。これが、熱海温泉の始まりといわれています。
歴史上の人物で熱海温泉を最も愛したのは、徳川家康でしょう。家康は2人の子を連れて7日間熱海に逗留したほか、京都で病気療養中の吉川広家(きっかわひろいえ)の見舞いとして熱海の湯を贈ったという話もあります。その後、熱海を幕府の直轄領にしたほど、家康は熱海の湯を気に入っていました。
明治以降にも多くの文化人が熱海を訪れ、人気は高まっていくこととなります。
熱海温泉には500本以上もの源泉があり、毎分16,500リットルの豊富な湯量が湧き出しています。主な泉質は塩化物泉と硫酸塩泉で、海側は塩化物泉、山沿いは硫酸塩泉の源泉が多いといわれています。源泉は海側に多いため、6割程度は塩化物泉となっています。
塩化物泉や硫酸塩泉の効能としては、神経痛や筋肉痛、関節痛、運動麻痺、冷え性、慢性消化器病、疲労回復などがあります。また、ほとんどの源泉が弱アルカリ性を示していて、肌に優しく美肌効果も期待できます。
「起雲閣」は、1919年に別荘として築かれた建物です。「熱海の三大別荘」の一つに数えられていて、旅館として生まれ変わったあとは太宰治や山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎といった文豪に愛されていました。現在は熱海市の有形文化財に指定されていて、一般公開されています。
1,000坪もの敷地には日本の伝統的な建築様式が残されている本館や日本・中国・欧州などの様式を融合させた洋館、広々とした庭園などがあり、熱海の三大別荘の名に恥じない優美さを保っています。
歴史好きな方や城好きな方からすれば、「熱海城」という城に聞き覚えはないかもしれません。というのも、この熱海城は実際に城として活用されたものではなく、城を模して作られた観光スポットなのです。
熱海城は1959年に建てられた観光施設で、五重の天守閣が備わった立派な外観が特長です。城の内部は9階建てになっており、かなり大きな規模の城だといえます。高台に作られていることから、その眺めは抜群。天守閣からは熱海の街並みや美しい熱海湾の姿を観ることができます。熱海城内部や敷地内にはレストランやトリックアート迷宮館、浮世絵美術館などさまざまな施設もあります。
「日本一早咲きの梅」で有名な熱海梅園は、当時の内務省の長与専斎(ながよせんさい)の提唱により、明治19年(1886年)に開園しました。59品種472本の梅の木があり、例年11月下旬~12月上旬に第一号の梅の花が咲き始めます。早咲き~中咲き~遅咲きと順々に花を咲かせるため、長期間に渡り梅の花が楽しめます。毎年1月上旬から3月上旬頃には梅まつりが開催されます。
一方、約380本ほどの紅葉樹は11月中旬~12月上旬に色づくため、「日本一遅い紅葉」として親しまれています。11月下旬頃から梅の花が咲き始めることもあり、訪れる時期によっては早咲きの梅と同時に楽しむことも。毎年紅葉の見ごろを迎える時期には、もみじまつりが開催され多くの人で賑わいます。まつり期間中のライトアップもおすすめです。
「來宮神社」は平安初期に征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえたむらまろ)が戦勝祈願をした神社といわれています。全国に44社ある來宮神社の総社でもあり、旅人の守護も担っています。参拝者の中には地元である熱海の人だけではなく、旅行客も数多くいます。
御神木である大楠は樹齢2000年を超えていて、国の天然記念物に指定されています。大楠へと至る道「楠への小路」が整備されたり、大楠を側面高台からも眺められるように「大楠・五色の杜」が整備されたりと、御神木である大楠が大切に祀られています。
「MOA美術館」は、熱海市にある私立美術館です。もともとは熱海美術館という名前で1956年に開館し、1982年に今の名前に変わりました。MOAという名称は、創立者である岡田茂吉の名前からとった「Mokichi Okada Association」の略です。
MOA美術館には岡田茂吉が所有していたコレクションを中心に、国宝や重要文化財、重要美術品を含む約3,500点が収蔵されています。主に取り扱っているのは日本や中国などの東洋美術で、絵画や彫刻、工芸品などそのジャンルはさまざまです。
カップルや夫婦で熱海観光をするなら、「あいじょう岬」を訪れてみるのがおすすめです。あいじょう岬は八幡山の山頂にある展望台で、熱海の街が一望できます。
あいじょう岬は“恋人たちのメモリースポット”といわれていて、鍵型のモニュメントが設置されています。このモニュメントのそばには柵があるのですが、そこにはたくさんの鍵がかけられた絵馬が。この絵馬は愛錠絵馬(あいじょうえま)と呼ばれていて、錠前で柵に取り付けることで願いが叶うといわれているのです。鍵が2つもらえるので、それぞれ持ち帰って大切な思い出の品にしましょう。
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