カラフルな笹飾りが素敵な「仙台七夕まつり」を楽しむためのポイント

夏になると全国各地で開催される夏祭り。夏ならではの旅行を楽しむなら、東北の古き良き伝統と文化が受け継がれた東北三大祭りへ足を運んでみてはいかがでしょうか。東北三大祭りには、青森ねぶた祭（青森県）、仙台七夕まつり（宮城県）、秋田竿燈まつり（秋田県）の3つの祭りがあります。今回は、“世界一”とも称される七夕の祭典、仙台七夕まつりの魅力をご紹介します。

日本では、7月7日の七夕といえば織り姫と彦星にまつわるロマンチックなエピソードが有名です。七夕が近付くと、全国の駅前や商店街でその地域ならではの“七夕まつり”も多く開催されています。毎年夏に宮城県で開催される「仙台七夕まつり」は、日本一の規模を誇る七夕行事。仙台駅周辺で目にできる鮮やかな笹飾り（七夕飾り）のアーケードは、観光客を魅了してやみません。

仙台七夕まつりとは、毎年8月6日～8月8日の3日間、仙台駅前一帯が豪華な笹飾りで装飾される七夕行事です。仙台七夕まつりの開催期間中は企業や商店が制作した美しい笹飾りでアーケードが彩られ、日本の美を目で見て楽しめます。

仙台七夕まつりの歴史は400年以上と長く、仙台藩祖伊達政宗公が活躍した江戸時代（1618年：元和4年）には、七夕にまつわる行事が存在したといわれています。七夕行事のルーツとなる七夕飾りの川流しが行われていたのは、1800年代の旧暦7月7日。七夕行事で使用した七夕飾りは翌朝川に流し、神を迎えて芸の向上や豊作を願うための祈願が行われていました。

1873年（明治6年）に新暦が採用されると不況の影響から七夕行事は衰退を迎えますが、1927年（昭和2年）には当時の仙台商人たちにより数十年ぶりの復活が遂げられました。

以来、再び戦況の悪化により仙台から姿を消してしまった仙台七夕まつりも、終戦後の1946年（昭和21年）からは街や商店をあげての大規模な七夕行事へと発展します。数千本におよぶ笹飾りが頭上を埋め尽くす美しい仙台七夕まつりの風景は仙台屈指の伝統行事として親しまれ、毎年全国から200万人以上もの観光客を迎える観光イベントとなりました。

仙台七夕まつりは、曜日に関係なく毎年8月6日～8月8日の3日間にわたり開催されます。以下で、開催日程と開催場所をチェックしておきましょう。

仙台七夕まつりの主役となるのが、街を華麗に彩る笹飾りです。どのように作られているのかなど笹飾りへの理解を深めておくと、仙台七夕まつりを深く楽しむことができますよ。

笹飾りとは、くす玉にバリエーション豊かな紙紐を垂らすように吊るした、長さ約5m～10mの七夕飾りです。「七つ飾り」と呼ばれる7つの異なる飾りで構成され、仙台七夕まつりでは仙台駅前から商店街アーケードにかけて数えきれないほどの笹飾りが飾られます。その制作期間は数ヶ月におよび、各商店では当日のお披露目までに手作業で笹飾りの制作が進められています（一部企業や団体は職人や紙店へ制作を依頼しています）。

完成した笹飾りはまつり初日の朝（8月6日8:00頃）、5本1組で横一列に吊るす形で飾られます。まつりに訪れた観光客は頭上から吊るされた笹飾りの間を縫って歩き、風になびく笹飾りや商店街の美しいまつり風景を楽しめます。

仙台市街一帯に飾られた笹飾りは各商店街で審査が行われ、受賞した笹飾りには金賞や銀賞などの賞札が貼られるため、まつり期間中は受賞作を探して歩いてみるのも良いでしょう。基本の形を崩すことなく美しい工夫が施された各店舗の笹飾りは、見る人を飽きさせません。

笹飾りの制作に欠かせない「七つ飾り」には、以下のようなものがあります。ひとつひとつの飾りに込められた意味や願いと合わせて見ていきましょう。

1．短冊

青、赤、黄色、白、紫などの色紙を使った短冊です。学問や習字の上達を願って作られます。かつての短冊には、墨で詩歌が書かれていました。

2．紙衣

紙を折って作る衣型の飾りです。病気や災難の身代わり、裁縫技術の上達を願って作られます。

3．折鶴

千羽鶴のように糸で繋げた折鶴です。家族の年長者の年齢と同じ羽数を折り、繋げることで家内安全や健康長寿を願います。

4．巾着

紙を折り、切り貼りして作られる巾着型の飾りです。形は半円、長方形などさまざまで、中には紙くずが入れられています。無駄遣いを戒めて貯蓄の心や富を敬い、商売繁盛への願いが込められています。

5．投綱

網状の紙細工です。幸運を寄せ集めるという意味合いのほか、豊漁・豊作を願って作られます。

6．屑篭

網状・袋状の紙細工です。七つ飾りを制作する際に出た紙くずを入れることで清潔と倹約の心を養うために制作されています。

7．吹き流し

す紐状の紙細工です。織り姫の織り糸を再現し、技芸の上達への願いが込められています。

仙台七夕まつりで、笹飾り以外にもチェックするべき見どころをご紹介します。

仙台七夕まつりと同日（8月6日～8月8日）開催されるおまつり広場は、勾当台公園市民広場、定善寺通りグリーンベルト、つなぎ横町にかけて整備される特設会場です。会場内では仙台グルメやステージパフォーマンス、七つ飾り作り体験など多彩なイベントを楽しめます。3日間にわたるステージでは、こどもに人気のキャラクター・ヒーローショーをはじめ、音楽イベント、伝統文芸のパフォーマンスなど、毎年多彩なステージプログラムが組まれています。

仙台七夕まつりの前夜祭として開催される仙台七夕花火祭。2024年は8月5日（月）、仙台西公園周辺での開催（予定）となります。約16,000発の花火が1時間にわたって打ち上げられる様子は、仙台に夏を知らせるとともに、仙台七夕まつりのムードを高めてくれます。

仙台藩祖伊達政宗公を祀る瑞鳳殿では、仙台七夕まつりと同日（8月6日～8月8日）に幻想的なライトアップイベントが開催されています。約1,200本の竹灯籠や小型の笹飾りが辺りを照らす風景は仙台七夕まつりの夜ならでは。イベントはまつり期間中の3日間で開催され、入場には観覧料が必要です。

仙台七夕まつりと同日（8月6日～8月8日）開催される仙台城跡ナイトイベントでは、日中には見られないこの時期だけの仙台城跡を堪能できます。竹灯籠や笹飾りのライトアップのほか、仙台の夜景を背景に繰り広げられる伊達政宗武将隊の演武は必見です。