絶景を見るなら只見線！秘境を訪れるローカル線の旅

秘境を走るローカル線として、写真愛好家からも人気のJR只見線。沿線の絶景や車窓からの景観を堪能するために、紅葉シーズンを中心に多くの観光客が訪れます。

特に2022年は、只見線の歴史に刻まれる重要な年となることもあり、たくさんの人出が予想されるでしょう。

この記事では、一部の区間で長らく不通となっていた只見線の今後の運行状況にも触れながら、沿線で絶景が楽しめるスポットや駅周辺の観光スポットをご紹介します。

全長約135kmの只見線は、福島県の「会津若松駅」から、新潟県の「小出駅」までの区間を結ぶローカル線。

季節ごとに色を変えてどこまでも広がる山々や、深く美しい渓谷など、大自然の絶景のなかを走る姿が心に残る秘境路線です。遠方からも多くの写真愛好家が集まり、高い人気がうかがえます。

車窓には、澄み切った清流や田園風景など、古き良き日本の景色が広がり、どこか懐かしさを感じられるでしょう。

燃えるような紅葉に包まれる10月中旬から11月中旬にかけては、特に多くの観光客で賑わい、臨時列車が運行されることもあります。

絶景に抱かれ豊かな自然のなかを走る只見線は、その境遇ゆえに、抗いがたい厳しい現実とともに歩んできた路線でもあります。

只見線は1926年に「会津線」として開業し、度々の延伸や、ダム建設に関わった資材輸送鉄道の譲渡などを経て、1971年に現在の只見線となりました。

2022年の秋、只見線は歴史に残る大きな節目を迎えることになります。2011年に発生した新潟・福島豪雨で被災した只見線は、一部の区間で不通となり、徐々に運転を再開したものの、「会津川口駅」から「只見駅」の区間は長く不通となっていました。この「会津川口駅～只見駅間」の復旧工事も完了の見通しが立ち、2022年10月には只見線全線での運転再開を予定しています。

2021年に50周年を迎えた只見線ですが、実に10年以上ぶりとなる全線での運転再開に、期待を寄せる方も多いでしょう。

JR只見線の起点となる、2つの駅へのアクセスは次のとおりです。

全線運行再開によって、さらに多くの絶景を楽しめるようになる只見線を堪能しに、出かけてみてはいかがでしょうか。

沿線の景観に恵まれ、季節を変えて何度も訪れたくなる絶景スポットも多い只見線。特に人気なのが、只見川の雄大な渓谷を渡る数々の橋です。大自然の絶景に架かる橋を眺められる人気のビュースポットをご紹介します。

只見線の絶景の代表格ともいえる「第一只見川橋梁」は、「会津桧原駅」と「会津西方駅」の間に位置している、全長174mの橋です。

控えめな薄紫が美しい橋の色は、第一只見川橋梁がある三島町の木である「桐」の花に合わせたもの。

第一只見川橋梁を眼下に望む定番のビュースポットは、「道の駅尾瀬街道みしま宿」の駐車場の奥にある遊歩道を登った場所にあります。季節ごとの色に染まる山の間から只見線の車両が姿を現し、再び山へと消えていく様子に、思わず夢中でシャッターを切ってしまうかもしれません。

天候の条件によっては、橋と車両を鏡のように鮮明に映す川面や、川霧に包まれる幻想的な絶景が見られるでしょう。

「第二只見川橋梁」は、「会津西方駅」と「会津宮下駅」の間に架かる橋です。

国道400号線沿いにあるビュースポットは、只見線利活用プロジェクトの一つである景観整備プロジェクトによって整備されたもの。会津西方駅から約400mと徒歩圏内にあり、気軽に絶景を楽しめる場所として人気を集めています。

ビュースポットから第二只見川橋梁までの距離も近く、走る列車を間近に感じられるのが大きな魅力でしょう。懐かしさを覚える列車の走行音まで聞こえてきそうな臨場感です。只見線の車両はもちろんのこと、大自然のなかで力強く佇む鉄橋の姿も絵になります。

「第三只見川橋梁」があるのは、「会津宮下駅」から「早戸駅」までの区間。周囲の景観に溶け込むレトロな色合いが特徴の橋は、山深い奥会津の風情をより高めてくれる存在です。

絶景のなかに佇む第三只見川橋梁を望めるビュースポットは、国道252号線「高清水スノーシェッド」内にあります。スノーシェッドとは、雪崩対策を目的に道路に設けた屋根のこと。橋梁を絶妙な角度で見下ろせるスポットとして人気です。

一風変わった名前の「宮下アーチ三橋（兄）弟」は、道路と線路を合わせて3本のアーチ橋が並ぶ、日本でもここだけの珍しい光景です。テレビ番組で紹介されたことから、近年注目を集めています。

国道252号線と県道237線の間を只見線が走行する興味深い景色は、「会津宮下駅」近くから眺められます。

只見線は、沿線を取り巻く絶景が見事なだけでなく、それぞれの駅周辺にも魅力ある観光スポットが存在します。通り過ぎるだけではもったいない只見線沿いの人気スポットで、途中下車の旅を楽しんでみませんか。

「早戸駅」周辺では、絶景を間近に感じられるスポットや、心癒される温泉が楽しめます。

早戸駅近くから乗船できる「霧幻峡の渡し」では、手漕ぎの渡し船で只見川を往復しながら、周辺の散策も楽しめます。風が少なく穏やかな只見川を、船頭さんの案内のもと進むため安心です。

川霧が発生しやすい夏には、より幻想的な雰囲気を味わえるでしょう。秋には、鏡面のように静まり返った川面に紅葉が映りこむ様も楽しめます。

旅の疲れを癒すなら、日帰り入浴も可能な「つるの湯」に立ち寄りましょう。開湯から1200年とも伝えられる薬湯には、白鶴が傷を癒したという伝説も。早戸駅から徒歩圏内の場所にありながら、事前に連絡すれば送迎にも対応してくれます。

「会津川口駅」では、お気に入りの風景を探すサイクリングや登山はいかがでしょうか。駅の構内で借りられる電動付き自転車を利用すれば、気になるスポットを効率的に回れるでしょう。

国道252号線を「会津中川駅」方面に向かうと見えてくる「かねやまふれあい広場」からは、川沿いを走る只見線と、奥に見える集落の風情ある景色を楽しめます。まるで、どこか郷愁を覚えるポストカードのような美しさです。

国道252号線を「本名駅」方面へ少し進むと、小高い場所から景色を見下ろせる「玉縄城跡」へ続く登山道があります。登山道の長さは約1km、およそ30分で山頂に到着できるため、時間に余裕がある方はぜひ立ち寄ってみてください。

「只見駅」周辺には、あいにくの天候でも観光できる屋内施設が充実しています。景色を眺めるだけでは見えてこない、新しい発見があるかもしれません。

駅からほど近い場所にある私設の資料館「ふるさと館田子倉」では、現在は田子倉ダムの底へ沈んだ、田子倉集落の歴史や文化を伝える資料を展示しています。戦後の高度経済成長を支えた田子倉ダムの建設は只見線の歴史とも関連が深く、切り離して語ることはできません。

「ただみ・ブナと川のミュージアム」では、只見地域で見られる自然や生物を、映像やパネルなどを用いて紹介しています。只見地域は、東北で最初にユネスコエコパークに登録された、自然あふれるエリアです。

JR只見線は、深い山々や雄大な渓谷美のなかを走り、絶景を眺められる秘境のローカル線です。2022年秋には、10年以上のときを経て全線の運行が再開されます。再開後まもなくは、渓谷が紅葉に染まる特に人気の時期でもあるため、全国から集まる多くの人で賑わうでしょう。

只見線沿いの絶景を楽しむ旅にお出かけの際は、ぜひびゅうトラベルをご利用ください。