石川県・加賀温泉郷のひとつ、山中温泉。大聖寺川が刻む渓谷「鶴仙渓」に沿って、開湯1300年の歴史ある湯の街が広がります。東京駅から北陸新幹線で加賀温泉駅まで約3時間、そこからバスに揺られれば、渓谷美とレトロな温泉街が旅人を迎えてくれる、車なしでも訪ねやすい温泉地です。
この記事では、鶴仙渓の渓谷さんぽと温泉街歩きを軸にした、のんびり楽しむ1泊2日のモデルコースを紹介します。
目次
まずは、首都圏から山中温泉までの行き方をチェックしておきましょう。東京駅から加賀温泉駅までは、北陸新幹線でおよそ3時間。JR「加賀温泉駅」からは、宿の送迎バス(要予約)や北鉄加賀バスの温泉山中線に乗れば、約35分で山中温泉に到着します。
列車とバスを乗り継いで行けるので、車がなくても気軽に訪れられるのがうれしいポイントです。
山中温泉に着いたら、まずは温泉街に息づく漆器の工芸と、鶴仙渓の渓谷美にふれる散策を楽しみましょう。
山中温泉といえば、木のぬくもりが息づく「山中漆器」。その魅力にふれられるのが、山中漆器伝統産業会館のなかにあるショップ「山中塗うるし座」です。普段使いの器から蒔絵の茶道具やアクセサリー、モダンな近代漆器まで、多彩な山中塗が産地価格でずらりと並びます。漆器の歴史を語る名品から現代の名工による作品まで幅広く展示されており、山中塗の粋を感じられる見ごたえのある品ぞろえです。
となりの山中漆器産業技術センターでは、木を挽いて器を生み出す「ろくろ挽き」を体験できます(要事前予約)。職人の技を間近で感じられる、旅の思い出づくりにもぴったりのスポットです。
山中温泉は、「奥の細道」の旅の途中、俳聖・松尾芭蕉が立ち寄った場所です。その足跡が今も残るのが「芭蕉の館」です。芭蕉が滞在した泉屋の隣にあった扇屋別荘を再整備した、明治期建築の山中温泉最古の宿屋建築。漆塗りの天井や広い床の間に、しっとりとした和の情緒が漂います。
館内には、芭蕉直筆の掛軸「山中や菊はたをらじ湯の匂ひ」をはじめ、芭蕉像や扁額など俳諧ゆかりの品々が並びます。庭園を眺めながらいただくお抹茶(有料)も、この館ならではの楽しみです。
鶴仙渓の散策でひときわ目を引くのが「あやとりはし」。いけばな草月流の三代目家元・勅使河原宏氏が「鶴仙渓を活ける」という思いを込めてデザインした、ユニークなS字型の橋です。あやとりを編んだような姿は「単純曲線三弦トラス」と呼ばれる構造によるものです。
緑の渓谷に映える鮮やかな紅紫色と大胆な曲線は、思わずカメラを向けたくなる美しさ。夜には九谷五彩をイメージしたライトアップ「Kakusenkei Light」が渓谷を彩り、昼とはまるで違う幻想的な表情に出会えます。
「あやとりはし」を渡ったら、鶴仙渓のせせらぎのそばで一息つきましょう。北陸随一とも言われる渓谷美のなかにある「鶴仙渓 川床」は、川辺に座って景色を楽しめる特等席です。深い緑や清らかな水の流れ、野鳥の声に包まれ、春は新緑、秋は紅葉と、季節ごとの表情に癒されます。
名物は、加賀棒茶と山中出身の和の鉄人・道場六三郎氏が監修した甘味。せせらぎを聞きながらの一服は、渓谷さんぽの醍醐味です。
温泉街のメインストリート「ゆげ街道」は、総湯「菊の湯」からこおろぎ橋付近まで続く、そぞろ歩きが楽しい通りです。九谷焼や山中漆器、現代工芸のギャラリーに、古美術の店や土産物店、カフェや食事処までずらりと軒を連ねます。歩いているだけでわくわくする、散策にうってつけのエリアです。
なかには「1店舗2業種」という1つの店舗に2つの業種が組み合わさったユニークな店もあり、ふらりと立ち寄れば思いがけない出会いが待っています。電柱のない広々とした歩道は歩きやすく、温泉情緒あふれる街並みをのんびり満喫できるでしょう。
1日目の散策を楽しんだら、鶴仙渓沿いの宿にチェックインです。渓谷を望む露天風呂にゆっくり浸かれば、歩き疲れた体もすっと軽くなります。加賀の味覚に舌鼓を打ちながら、山あいの静かな夜を過ごしましょう。
2日目は、朝の澄んだ空気のなかで鶴仙渓の遊歩道を歩き、渓谷美と歴史にふれながら旅を締めくくります。
2日目は、鶴仙渓に沿って続く「鶴仙渓遊歩道」の散策からスタートしましょう。北陸随一とも称される渓谷美のなか、黒谷橋からこおろぎ橋までの約1.3kmを、川のせせらぎを聞きながらのんびり歩きます。所要時間はおよそ30分、朝さんぽにちょうどよい距離です。
春の新緑、夏の涼やかな空気、秋の紅葉、そして冬の雪景色と、訪れるたびに違った表情に出会えるのもうれしいところ。澄んだ朝の空気を吸い込めば、心までほどけていくようなひとときが待っています。
遊歩道の終わり、「こおろぎ橋」の手前に見えてくるのが「無限庵」です。加賀藩の家老・横山家が金沢の屋敷に建てた書院を移築したもので、明治末期の木造技術の粋を集めた最高級の造り。石川県指定文化財にもなっている、格式高い名建築です。
金沢の成巽閣にも通じる武家書院の伝統を受け継ぐ貴重な建物で、加賀蒔絵や古九谷、千利休ゆかりの茶道具など、数々の古美術品を鑑賞できます。見学の後は、館内の茶房で山中漆器でいただくお抹茶やランチを味わうのもおすすめです。加賀百万石の文化にふれる、ゆったりとしたひとときをぜひ過ごしてみてください。
鶴仙渓に架かる総ヒノキ造りの「こおろぎ橋」は、山中温泉のシンボルとして親しまれてきた木橋です。渓谷の緑や紅葉に溶け込む優美な姿には、日本ならではの情緒が漂います。橋の上から見下ろす鶴仙渓はもちろん、遊歩道から見上げる精緻な木組みの美しさも見どころです。
橋の名前の由来には、かつて道が険しく「行路危」と呼ばれた説や、秋の夜に鳴くコオロギにちなむ説など、いくつかの言い伝えが残っています。物語に思いをはせながら渡れば、散策がいっそう味わい深いものになるでしょう。
旅の締めくくりにおすすめなのが、温泉街の中心に立つ総湯「菊の湯」です。総湯とは、地域で大切に守られてきた共同浴場のこと。山中温泉はこの菊の湯を中心に発展してきました。いわば温泉街のシンボルです。観光客も気軽に立ち寄れる、うれしい日帰り湯です。
男湯と女湯は建物が分かれていて、男湯は緑色の変わり瓦をのせた天平風の優雅なたたずまい、女湯は山中節を楽しめる「山中座」に併設されています。芭蕉も愛したさらりとした名湯で、旅の疲れをやさしく癒せます。
名残は尽きませんが、旅もいよいよ終わりです。宿の送迎バス、もしくは山中温泉バスターミナルから路線バスで加賀温泉駅へ向かい、北陸新幹線で帰路につきます。車窓に流れる北陸の景色を眺めながら、渓谷と湯の街で過ごした余韻に浸れるのも、列車旅ならではの楽しみです。
山中温泉には、鶴仙渓の渓谷美を身近に感じられる宿が数多くあります。ここでは、渓流沿いの湯やおもてなしに定評のある4軒を紹介します。
「白鷺湯たわらや」は、鎌倉時代から800年以上続く、山中温泉きっての老舗宿です。宿の名は、湯に脚を浸して傷を癒したという白鷺の言い伝えにちなんだもの。客室や渓流露天風呂「鶴仙」「河鹿」からは、名勝・鶴仙渓の絶景を心ゆくまで楽しめます。
湯量が豊富で、源泉100%・無色透明のやわらかなお湯が肌をそっと包み込みます。2025年11月には大浴場「河鹿」にサウナ・水風呂・半露天風呂が新登場。渓谷の自然に抱かれた「ととのい」のひとときも過ごせます。
「吉祥やまなか」は、山中の湯をたっぷり味わえる湯宿です。大聖寺川にせり出すように設えた大浴場「白鷺の湯」の露天風呂からは、新緑や紅葉、雪景色まで、四季折々の渓谷美を眺められます。檜・岩・石造りの3種の貸切風呂や、館内の足湯もそろい、思い思いに湯めぐりを楽しめます。
客室は、意匠を凝らした天井や床の間をしつらえた、渓流を望むモダンな造り。九谷焼や山中漆器など、加賀の伝統文化を感じられるおもてなしも、この宿ならではの魅力です。
「かがり吉祥亭」は、こおろぎ橋にほど近い鶴仙渓沿いに立つ、全室リバービューの湯宿です。女湯「白鳥の湯」には、手を伸ばせば渓谷に届きそうな珍しい立ち湯の露天風呂があり、男湯「百間の湯」では開放感あふれる野天風呂で渓流美を間近に感じられます。
檜と岩、趣の異なる2つの貸切風呂では、天然温泉と絶景を独り占め。古き良き和の風情ただよう客室からは四季の渓谷美を眺められ、九谷焼や山中漆器の伝統に包まれた滞在を楽しめます。
「山中温泉河鹿荘」は、2025年に生まれ変わった、温泉街の中心に立つホテルです。大聖寺川沿いの気持ちよいロケーションで、肌にやさしい弱アルカリ性の「美肌の湯」を、檜風呂の大浴場やサウナ、川の流れを間近に望む露天風呂で満喫できます。湯上がりには、フリードリンクがそろうラウンジでほっと一息つけるのも魅力です。
客室は全室35㎡以上とゆったりめで、和モダンの落ち着いた設え。食事は、シェフが目の前で仕上げるライブキッチン付きのビュッフェで、北陸の旬の恵みを心ゆくまで味わえます。
山中温泉は、鶴仙渓の渓谷さんぽに温泉街歩き、開湯1300年の名湯まで、車がなくてもたっぷり楽しめる1泊2日にぴったりのエリアです。渓谷に架かる個性豊かな橋や、山中漆器の工芸にふれる時間も、旅に彩りを添えてくれるでしょう。
旅の手配は、列車と宿泊がセットで申込める「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」が便利です。次の休日は、渓谷美と湯の街・山中温泉へぜひ出かけてみてください。
ご利用上の注意事項
【ご利用上のご注意】
・申込完了後の手配内容の変更(日付・プラン内容・列車の時刻や座席・増員や減員等)は一切できません。
・以下の操作を行うと不具合が発生する可能性がございます。
推奨環境以外での操作
複数のブラウザを立ち上げての操作
予約操作画面で「ブラウザの戻るボタン」を利用した操作
・同行者全員が同一行程となります。異なる発着地やプラン内容を1つの申込として手配することはできません。
【ご旅行代金・お支払いについて】
・ダイナミックレールパックは価格変動制を採用しており、需給や市場状況に応じて柔軟に価格が変動いたします。このため、同一の列車・区間、同一の宿泊施設・プランであっても、お申込の時期により金額が異なる場合があります。また、1ヶ月前の列車確定時に旅行代金を再計算するため、乗車日が1ヶ月以上先のお申込の場合、
お申込時に表示していたお見積額と実際の旅行代金が異なる場合があります。
・乗車日が1ヶ月以上先のお申込の場合、利用列車確定時、旅行契約締結前に確定した旅行代金を表示しますので、ご確認の上ご予約ください。
・お支払いはクレジットカード決済のみとなります。
【列車・きっぷについて】
・旅行商品にご利用いただける座席数には制限がございます。一般発売されている座席に空席があっても手配できない場合がございます。
・(契)乗車票は、原則普通乗車券・特急券等との併用はできません。
・シートマップ(座席位置の指定)は乗車日が1か月以内(列車の指定席発売後)の場合のみご利用いただけます(一部列車を除く)。
・新幹線の車イス対応座席等をご希望の場合、ご出発日前日から起算し、土日祝日を除いた10日前までにお申し出ください。満席等の理由によりご希望に添えない場合がございます。 詳しくはこちら
・新幹線eチケットサービス対象外のため、Suica等のICカードとの紐づけはできません。
【その他】
・上記以外のご案内については、びゅうトラベルサイト内「ご利用ガイド」および、操作時の各画面にございます「ご注意」を必ずご確認ください。
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